【AI #4】マルチエージェントAI、個人開発で使えるのか?
💡 この記事について TradingAgentsというマルチエージェントフレームワークを見つけて、スピカ(AIアシスタント)と一緒に調べてみた記録です。
きっかけ:TradingAgentsを見つけた
GitHubを眺めてたら、面白いリポジトリを見つけた。
TradingAgents - LLMを使ったマルチエージェント株式トレーディングフレームワーク。
実際のトレーディング会社の構造を模倣して、複数のAIエージェントが協力して投資判断するらしい。
エージェント構成がまるで投資会社
📊 アナリストチーム
- Fundamentals Analyst - 財務諸表、業績分析
- Sentiment Analyst - SNS・世論分析
- News Analyst - ニュース・マクロ経済
- Technical Analyst - MACD、RSI等のテクニカル指標
🔬 リサーチャーチーム
- 強気派 vs 弱気派が議論・ディベート
- リスクと利益のバランスを検討
💼 トレーダー
- 全レポートを統合して売買判断
⚠️ リスク管理 & ポートフォリオマネージャー
- 最終的なGO/NO GO判断
技術スタックはLangGraphベース。複数のLLMプロバイダー(OpenAI, Anthropic, Google, xAI, Ollama)に対応し、株価データはyfinance(無料)をデフォルトで使用、Alpha Vantage APIもオプションで利用可能。
コスト最適化の工夫として、2段階LLMアプローチを採用している:
deep_think_llm- 複雑な推論が必要な判断に使用quick_think_llm- 軽い処理に使用してコストを抑える
また、メモリ+リフレクション機能も実装されている:
FinancialSituationMemory- 過去の判断から学習- 取引結果に基づく自己改善機能
エージェント間のやり取り(想像図)
こんな感じでやり取りが起きてそう:
sequenceDiagram participant User as 👤 ユーザー participant FA as 📊 Fundamentals participant SA as 📊 Sentiment participant Bull as 🐂 強気派 participant Bear as 🐻 弱気派 participant Trader as 💼 トレーダー participant PM as 👔 ポートフォリオMgr User->>FA: NVDA 2024-05-10 分析して FA->>Bull: 売上成長率+25%、PER高め SA->>Bull: Twitter sentiment 72%ポジティブ Note over Bull,Bear: 🔥 ディベート開始 Bull->>Bear: AI需要は継続、成長余地あり! Bear->>Bull: いや、バリュエーション高すぎ Bull->>Trader: 結論: 中長期で買い推奨 Bear->>Trader: 結論: 短期リスク警戒 Trader->>PM: 提案: 30%ポジションで買い PM->>User: ✅ 承認: 20%ポジションで買い
全体の構造はこんな感じ:
flowchart TB
subgraph Analysts["📊 アナリストチーム"]
FA[Fundamentals]
SA[Sentiment]
NA[News]
TA[Technical]
end
subgraph Research["🔬 リサーチャー"]
Bull[🐂 強気派]
Bear[🐻 弱気派]
Debate((💬 ディベート))
end
subgraph Decision["💼 意思決定"]
Trader[トレーダー]
Risk[⚠️ リスク管理]
PM[👔 ポートフォリオMgr]
end
FA --> Bull
SA --> Bull
NA --> Bear
TA --> Bear
Bull <--> Debate
Bear <--> Debate
Debate --> Trader
Trader --> Risk
Risk --> PM
PM -->|✅ 承認| Execute[📈 執行]
PM -->|❌ 却下| Reject[🚫 見送り]
素朴な疑問:なんで階層型じゃないの?
ここでふと思った。
「これ、なんで階層型でやらないの?声が強いエージェントの主観になっちゃわない?」
だってさ、Bull(強気派)とBear(弱気派)がディベートして、最終的にトレーダーが判断する設計でしょ?
自信満々に主張するエージェントに引っ張られない?
スピカに聞いてみた
スピカ(僕のAIアシスタント)に調べてもらったら、こう返ってきた。
スピカ: セブの懸念、めっちゃ正しいと思う。
マジか。
「声が強いエージェント問題」は既知の課題
これ、LLMマルチエージェントの既知の問題らしい。
起きうること:
- 長文で主張するエージェントが勝ちやすい
- 「自信ありげな」トーンに引っ張られる
- 先に発言した方が有利(アンカリング)
人間の会議でも起きるやつじゃん…
マルチエージェントの4つのタイプ
せっかくなので、マルチエージェントのアーキテクチャパターンを整理してみた。
🏛️ Type A:階層型(Hierarchical)
特徴:上位が指示、下位が実行。最終判断は上位が担う
graph TB M[👔 マネージャー] M --> A1[🤖 Agent 1] M --> A2[🤖 Agent 2] M --> A3[🤖 Agent 3] A1 --> M A2 --> M A3 --> M M --> R[📋 最終結果] style M fill:#4a90d9,color:#fff
事例:
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 意思決定が明確 | マネージャーがボトルネック |
| 暴走しにくい | スケールしにくい |
💬 Type B:ディベート型(Debate)
特徴:対等なエージェントが議論→結論を出す
graph LR A1[🐂 Agent A] <--> D((💬 討論)) A2[🐻 Agent B] <--> D D --> J[⚖️ 判定] J --> R[📋 結論] style D fill:#f5a623,color:#fff
事例:
- TradingAgents - Bull vs Bear
- ChatDev - CEO/CTO/Designer等がレビューし合う
- AutoGen Debate Pattern
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 多角的な視点 | 声の大きいAI問題 |
| 偏りを減らせる | 収束しないことも |
🔗 Type C:パイプライン型(Sequential)
特徴:直列処理、前の出力が次の入力
graph LR I[📥 入力] --> A1[🤖 Agent 1] A1 --> A2[🤖 Agent 2] A2 --> A3[🤖 Agent 3] A3 --> R[📋 出力] style A1 fill:#7ed321,color:#fff style A2 fill:#7ed321,color:#fff style A3 fill:#7ed321,color:#fff
事例:
- GPT Researcher - 計画→検索→要約→レポート
- CrewAI Sequential Process
- LangGraph Chain
| メリット | デメリット |
|---|---|
| シンプル | 品質ドリフト |
| デバッグしやすい | チェーン長いほど誤差蓄積 |
⚡ Type D:並列型(Parallel)
特徴:複数エージェントが同時並行、最後に統合
graph TB I[📥 入力] --> A1[🤖 Agent 1] I --> A2[🤖 Agent 2] I --> A3[🤖 Agent 3] A1 --> M[🔀 Merger] A2 --> M A3 --> M M --> R[📋 統合結果] style M fill:#9b59b6,color:#fff
事例:
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 高速 | コスト爆発(15倍のトークン消費) |
| 大規模タスク向き | 統合ロジックが複雑 |
個人開発との距離感
正直、調べれば調べるほど「これ個人開発で使えるのか…?」という気持ちになってきた。
壁1:コストがヤバい
Anthropicの調査によると、マルチエージェントはシングルエージェントの15倍のトークンを消費するらしい。
15倍って…月のAPI代がえらいことになる。
壁2:ディベート型の落とし穴
TradingAgentsで感じた「声の大きいAI問題」。
対策として考えられるのは:
- 各エージェントがスコア(1-10)で評価して数値で集計
- 誰が言ったか隠して内容だけで評価
- 過去の的中率で信頼度を重み付け
でもこれ、全部自分で実装しないといけない。
壁3:統合ロジックが複雑
並列型の「Merger」部分とか、結局どうやって複数の意見をまとめるの?という問題。
これも自前で書くと結構大変そう。
じゃあどこから始める?
いきなり5エージェントとか投入するのは無理。
現実的なのは:
- まずシングルエージェント + 良いプロンプトで十分なケースが多い
- どうしてもマルチにするなら**パイプライン型(2エージェント)**から
- ビジュアルツール(n8n、Flowise)で試してみる
Cursor 2.0みたいな「8並列エージェント」は、まだ大企業向けのソリューションかな…
まとめ
TradingAgentsを見て「マルチエージェント面白そう!」と思ったけど、調べてみると:
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| タイプ | 4つある(階層型/ディベート型/パイプライン型/並列型) |
| 既知の課題 | コスト、声の大きいAI問題、品質ドリフト |
| 個人開発との距離 | まだある |
でも研究目的としては面白いし、フレームワークも整ってきてる。
もう少し様子見しつつ、パイプライン型の小さい構成から試してみようかな。
シリーズ目次
- 【AI #1】OpenClawとは?
- 【AI #2】スキルとは?
- 【AI #3】記憶とMEMORY.md
- 【AI #4】マルチエージェントAI ← 今ここ
この記事はスピカ(AIアシスタント)との会話をベースにまとめました